2025.04.14
研究開発

米国食品医薬品局、切除不能または遠隔転移を有する肝細胞がんに対するファーストライン治療としてオプジーボ®とヤーボイ®の併用療法を承認

 本資料は、小野薬品工業と戦略的提携契約を締結しているブリストル マイヤーズ スクイブが2025年4月11日(米国現地時間)に発表した英語原文のプレスリリースを和文抄訳として提供するものです。和文抄訳の内容につきましては、英語原文が優先されます。
 英語原文のプレスリリースは、https://www.bms.com/media/press-releases.html をご覧ください。


本資料は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社が2025年4月11日に発表しましたプレスリリースの和文抄訳であり、内容につきましては英語原文が優先されます。

米国食品医薬品局、切除不能または遠隔転移を有する肝細胞がんに対する ファーストライン治療としてオプジーボ®とヤーボイ®の併用療法を承認1

  • 第Ⅲ相CheckMate-9DW試験において、オプジーボとヤーボイの併用療法は、治験担当医師が選択したレンバチニブまたはソラフェニブと比較して統計学的に有意な全生存期間の延長を示しました1
  • 本試験では、対照群での3年生存率が24%であったのに対して、免疫療法薬2剤併用群での3年生存率は38%でした1

 (ニュージャージー州プリンストン、2025年4月11日)-ブリストル マイヤーズ スクイブ(NYSE:BMY/本社:米国ニューヨーク/CEO:クリス・バーナー)は、本日、米国食品医薬品局(FDA)が、切除不能または遠隔転移を有する肝細胞がん(HCC; 最も一般的な原発性肝がん)の成人患者に対するファーストライン治療として、オプジーボ®(一般名:ニボルマブ)とヤーボイ®(一般名:イピリムマブ)の併用療法を承認したことを発表しました1,2。今回の承認は、全身療法による治療歴のない切除不能なHCC患者を対象に、オプジーボとヤーボイの併用療法を治験担当医師が選択したチロシンキナーゼ阻害薬単剤療法(レンバチニブまたはソラフェニブ)と比較評価した国際共同無作為化非盲検第Ⅲ相試験であるCheckMate-9DW試験の結果に基づいています1。本試験では、オプジーボとヤーボイの併用療法は全生存期間(OS)および奏効率(ORR)において、対照群と比較して統計学的に有意な結果が示されました1。本試験は、オプジーボとヤーボイの併用療法が対照群と比較して良好な結果を示したFDAの承認を裏付ける唯一の臨床試験です。
 メドスター・ジョージタウン大学病院でCheckMate-9DW試験の治験担当医師を務めたAiwu Ruth He(MD, PhD)は、次のように述べています。「肝がんの発生率が過去40年間で3倍に増加している中でHCC患者さんの予後は依然として不良であることを考慮すると、CheckMate-9DWの承認は患者さんにとって重要な進歩です3,4。奏功が示された新たなファーストライン治療によって、このタイプの肝がん成人患者さんに長期生存のベネフィットをもたらし、アンメットニーズの克服を支持しうるものです1,5,6。特に、一定の治療効果を持つ対照群との比較試験において堅固な結果が得られたことを踏まえると、オプジーボとヤーボイの併用療法は、切除不能または遠隔転移を有するHCC患者さんに対するファーストライン治療の標準治療となる可能性があると考えています。1
 対照群の85%がレンバチニブ、15%がソラフェニブの投与を受けたCheckMate-9DW試験では、オプジーボとヤーボイの併用群(n=335)のOS中央値は23.7カ月(95% CI: 18.8-29.4)であったのに対し、レンバチニブまたはソラフェニブの単剤療法群(n=333; HR=0.79; 95% CI: 0.65-0.96 P=0.018)のOS中央値は20.6カ月(95% CI: 17.5-22.5)であり、オプジーボとヤーボイの併用群では死亡リスクが21%低下することが示されました1。オプジーボとヤーボイの併用群では、3年生存率が38%であったのに対し、レンバチニブまたはソラフェニブの単剤療法群では24%でした1。また、本試験において、レンバチニブまたはソラフェニブの単剤療法群では、ORRが13.2%(95% CI: 9.8-17.3; P<0.0001)であったのに対して、オプジーボとヤーボイの併用群では36.1%(95% CI: 31-41.5)と高い奏効が示されました (完全奏効は6.9% vs 1.8%、部分奏効は29.3% vs 11.4%)1。奏効期間中央値(mDOR)は、オプジーボとヤーボイの併用群で30.4カ月(95% CI: 21.2-NR)、レンバチニブまたはソラフェニブの単剤療法群で12.9カ月(95% CI: 10.2-31.2)であり、オプジーボとヤーボイの併用群の方が奏効期間が長いことが示されました1。なお、DORは統計学的な階層的検定に含まれていないため、検出力のある評価項目ではありません1。オプジーボとヤーボイの併用療法の安全性プロファイルは確立されており、新たな安全性シグナルは認められませんでした5
 オプジーボとヤーボイの併用療法における警告および使用上の注意には以下のようなものがあります:肺炎、大腸炎、肝炎および肝毒性、内分泌障害、腎機能障害を伴う腎炎、皮膚副作用、その他の免疫介在性副作用を含む重篤で致死的な免疫介在性副作用、輸液関連反応、同種造血幹細胞移植(HSCT)の合併症、胚・胎児毒性、多発性骨髄腫患者がオプジーボをサリドマイド類似物質およびデキサメタゾンと併用した場合(十分に管理された臨床試験以外では非推奨)の死亡率の上昇1。詳細は下記の「重要な安全性情報」の項目をご参照ください。
 ブリストル マイヤーズ スクイブの腫瘍領域製品戦略部門シニアバイスプレジデントであるWendy Short Bartieは、次のように述べています。「オプジーボとヤーボイの併用療法をファーストライン治療としてHCC患者さんに提供することは、私たちが研究に継続的に取り組み、がんと共に生きる人々のために重要な進歩をもたらしていることの証です。今回の承認は、長年にわたり患者さんへの価値をもたらしてきた当社の免疫療法薬2剤による併用療法の治療成果を礎にしたものです1。この重要な治療法が適応症に追加されたことを嬉しく思います。今週だけで消化器領域におけるオプジーボとヤーボイの併用療法の2つ目の承認取得となり、必要としている患者さんに新たなファーストライン治療を提供できることを楽しみにしています。1

 オプジーボとヤーボイの併用療法は、第Ⅱ相CheckMate-040試験の結果に基づき、2020年に米国FDAより迅速承認を取得しており、過去にソラフェニブの投与を受けたことのある進行HCC患者に対するセカンドライン治療として確立しています1。FDAの今回の決定により、この既存の適応症は完全承認に切り替わり、CheckMate-9DW試験の結果に基づき、この適応症はファーストライン治療での使用に拡大されます1

CheckMate-9DW試験について

 CheckMate-9DW試験は、全身療法による治療歴のない切除不能または進行HCCの成人患者を対象に、オプジーボとヤーボイの併用療法を治験担当医師が選択したレンバチニブまたはソラフェニブ単剤療法と比較評価した無作為化非盲検第Ⅲ相試験です。7本試験では、患者668例が、オプジーボとヤーボイの静脈内投与による併用療法群(オプジーボ1mg/kgとヤーボイ3mg/kgを3週間間隔で最大4回投与し、その後は病状の進行、不忍容の毒性作用がみられるまで、または最長2年間、オプジーボ480mgの単剤療法を4週間間隔で投与)、レンバチニブ単剤(体重60kg未満の場合1日1回8mg、体重60kg以上の場合1日1回12mg) もしくはソラフェニブ単剤(1日2回400mg)を経口投与する対照群のいずれかに無作為に割り付けられました1,5。本試験の主要評価項目はOSです。主な副次評価項目は、ORRおよび症状悪化までの期間(TTSD)です1。なお、本試験は、オプジーボおよびヤーボイとレンバチニブまたはオプジーボおよびヤーボイとソラフェニブを独立して比較する試験デザインではありません1

CheckMate-9DW試験における主な安全性プロファイル

 CheckMate-9DW試験における安全性解析の対象は657例で、うち332例がオプジーボとヤーボイの併用療法を受けました1。重篤な副作用は、オプジーボとヤーボイの併用療法を受けた患者の53%に発現しました1。オプジーボとヤーボイの併用療法を受けた患者の2%以上に報告された最も頻度の高い肝臓に関連しない重篤な副作用は、下痢・大腸炎(4.5%)、消化管出血(3%)、および発疹(2.4%)でした1。オプジーボとヤーボイの併用療法を受けた患者の17%に肝臓関連の重篤な副作用が発生し、そのうち16%の患者でグレード3-4の副作用が含まれていました。オプジーボとヤーボイ併用療法を受けた患者のうち、1%以上で報告された全グレードの肝臓関連の重篤な副作用で最も頻度が高かったのは、免疫介在性肝炎(3%)、AST/ALTの増加(3%)、肝不全(2.4%)、腹水(2.4%)、および肝毒性(1.2%)でした。オプジーボとヤーボイの併用療法を受けた患者の20%以上に報告された最も多い副作用は、発疹、そう痒症、疲労、下痢でした。致死的な副作用は、オプジーボとヤーボイの併用療法を受けた患者の12例(3.6%)に発現し、このうち4例(1.2%)は免疫介在性肝炎または自己免疫性肝炎により死亡し、4例(1.2%)が肝不全により死亡しました1。副作用による恒久的な投与中止は、オプジーボとヤーボイ併用療法を受けた患者の27%に発生しました。 患者の1%超で恒久的な投与中止に至った副作用は、オプジーボでは免疫介在性肝炎(1.8%)、下痢/大腸炎(1.8%)、肝不全(1.2%)でした1

肝細胞がんについて

 肝細胞がん(HCC)は原発性肝がんの一種であり、成人における肝がんの最も一般的な型です2。肝がんは、米国のがんによる死因で6番目に多いがんです8。HCCは進行期に診断されることが多く、効果的な治療選択肢が限られ多くは予後が不良です5,9,10。2025年には、米国で約42,240人が肝がんと診断され、約30,090人が肝がんで死亡すると推定されています3。米国では、1980年以降、肝がんの発生率が3倍に増加し、死亡者数は2倍に増加しています3。HCCは通常、肝炎ウイルス感染または肝硬変の患者に発症します11。HCCの大半は、B型肝炎ウイルスまたはC型肝炎ウイルス感染に起因していますが、メタボリックシンドロームおよび非アルコール性脂肪性肝炎の有病率が高まっており、HCCの罹患率の上昇の一因になると推定されています11

オプジーボとヤーボイの適応症および安全性情報について

 米国でのオプジーボとヤーボイの適応症および安全性情報については、原文リリースをご参照ください。

ブリストル マイヤーズ スクイブ:がん患者さんのためのより良い未来を目指して

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、「サイエンスを通じて、患者さんの人生に違いをもたらす」というビジョンを掲げています。がん研究で私たちが目指すのは、より良い健やかな日々をもたらす医薬品を患者さんにお届けすること、そして、がんの治癒を可能にすることです。私たちはこれまでも、さまざまながん腫において生存期間を改善してきました。その実績を足掛かりに、ブリストル マイヤーズ スクイブの研究者は、患者さん一人ひとりに合わせた個別化医療の新たな地平を拓くとともに、革新的なデジタルプラットフォームによって得たデータをインサイトに変え、研究の着眼点を明らかにしています。ヒトの生物学と疾患の関係に対する深い知見、最先端の技術および独自の研究プラットフォームにより、私たちは、あらゆる角度からがん治療にアプローチします。
 がんは、患者さんの人生のさまざまな場面に深刻な影響を及ぼします。ブリストル マイヤーズ スクイブは、診断からサバイバーシップまで、がん治療のすべての側面に違いをもたらすべく尽力しています。がん治療のリーダーである私たちは、がんと闘うすべての人々の力となり、より良い未来を築くべく取り組んでいます。

ブリストル マイヤーズ スクイブと小野薬品工業の提携について

 2011年、ブリストル マイヤーズ スクイブは、小野薬品工業と締結した提携契約により、当時、小野薬品工業がすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を獲得しました。2014年7月23日、ブリストル マイヤーズ スクイブと小野薬品工業は、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単剤療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。

ブリストル マイヤーズ スクイブについて

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、深刻な病気を抱える患者さんを助けるための革新的な医薬品を開発し、提供することを使命とするグローバルなバイオファーマ製薬企業です。ブリストル マイヤーズ スクイブに関する詳細についてはBMS.com をご覧くださるか、LinkedIn 、X 、YouTube 、Facebook および Instagram をご覧ください。

将来予測に関する記述の注意事項

 本プレスリリースは、特に医薬品の研究、開発および商業化について、1995年米国民事証券訴訟改革法に定められている「将来予測に関する記述」を含んでいます。歴史的事実ではないすべての記述は、将来予測であると見なされるものです。そうした将来予測に関する記述は、将来の業績、目標、計画および目的に関する現在の予想および予測に基づくものであり、今後数年間で予測が困難あるいは当社の支配下にない遅延、転換または変更を来たす内的または外的要因を含む内在的リスク、仮定および不確実性を伴い、将来の業績、目標、計画および目的が、本文書で記述または示唆されている内容と大きく異なる結果となる可能性があります。これらのリスク、仮定、不確実性およびその他の要因には、特に、オプジーボ(一般名:ニボルマブ)とヤーボイ(一般名:イピリムマブ)の併用療法が本プレスリリースに記載された追加の適応症で商業的に成功するかどうかは不明であるという点、販売承認を取得したとしても、その使用が著しく制限される可能性、またそのような適応症での併用療法の承認の継続が検証試験における臨床的有用性の証明および記載を条件とする可能性が含まれています。将来予測に関するいかなる記述も保証されるものではありません。本プレスリリースの将来予測に関する記述は、ブリストル マイヤーズ スクイブの事業と市場に影響を与える多くのリスクおよび不確定要素、特にブリストル マイヤーズ スクイブの2024年12月31日に終了した事業年度通期報告書(Form 10-K)、その後の四半期報告書(Form 10-Q)および当期報告書(Form 8-K)など、当社が証券取引委員会に提出した報告書にリスク要因として記されている不確定要素と共に評価されるべきです。本プレスリリースに記載された将来予測に関する記述は、本プレスリリースの発表日時点での予測であり、準拠法で特段の定めのない限り、ブリストル マイヤーズ スクイブは、新たな知見、今後の出来事等に因るか否かを問わず、一切の将来予測に関する記述について、公に更新または修正する義務を負うものではありません。

参考文献

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  10. American Cancer Association. Can Liver Cancer Be Found Early? Available at https://www.cancer.org/cancer/types/liver-cancer/detection-diagnosis-staging/detection.html. Accessed February 21, 2025
  11. American Cancer Association. Liver Cancer Risk Factors. Available Accessed February 21, 2025