2025.03.12
ライセンス

米国Ionis Pharmaceuticals社と真性多血症治療薬「Sapablursen」に関するライセンス契約を締結

 小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:滝野 十一、以下、「当社」)は、Ionis Pharmaceuticals Inc.(本社:米国、カリフォルニア州カールスバッド、CEO:Brett P. Monia, Ph.D.、以下、「Ionis社」)と、Ionis社が真性多血症(PV)の治療薬として開発中のsapablursenに関するライセンス契約を締結しましたので、お知らせします。
 Sapablursenは、Ionis社が創製したTMPRSS6を標的とした核酸医薬(アンチセンス阻害剤)であり、成人PV患者を対象とした第Ⅱ相IMPRESSION試験が進められています。なお、Sapablursenは、米国食品医薬品局(FDA)から、2024年1月にファストトラック指定を、2024年8月にオーファンドラッグ指定を受けております。

 本契約の締結により、当社は、全世界を対象に独占的にsapablursenを開発および商業化する権利を取得します。なお、Ionis社は、PVを対象とした第Ⅱ相試験の完了まで引き続き開発を担当します。当社は、その後の全世界を対象としたsapablursenの開発および商業化活動を担当します。当社は、契約一時金として2.8億米ドル、また開発の進捗、申請/承認時および売上高に応じたマイルストンとして合計で最大6.6億米ドルをIonis社に支払います。また、当社は、sapablursenの売上高に応じた二桁台の料率のロイヤルティをIonis社に支払います。本取引は、Hart-Scot-Rodino Antitrust Improvements Act ("HSR Act")の要件の対象となります。

 当社の代表取締役社長である滝野 十一は、次のように述べています。「この度、RNA標的医薬品のパイオニアであるIonis 社とsapablursen に関して提携を開始できることを大変嬉しく思います。本提携は、血液領域のパイプラインを強化するという当社の戦略に沿ったものです。sapablursen が全世界中の 真性多血症患者さんの新たな治療選択肢になることを期待しています。」

 Ionis社のCEOであるBrett P. Moniaは、次のように述べています。「Ionis社と小野薬品は、重篤な疾患を抱える人々のニーズに応えるために革新的な医薬品を推進することにコミットしています。同社独自の能力を活用して、PV患者さんに広くアクセスできるようにすることで、sapablursenの価値最大化をめざしていけることを嬉しく思います。」

 なお、本件による当社の2025 年3 月期の連結業績への影響は軽微ですが、今後、公表すべき事項が生じた場合には、速やかに開示します。

Sapablursenについて

 Sapablursenは、Ionis社によって創製・開発されたTMPRSS6を標的とした核酸医薬(アンチセンス阻害剤)です。TMPRSS6の産生を抑制し、鉄恒常性の主要な調節因子であるヘプシジンの産生を増加させます。ヘプシジンの発現を増加させることにより、sapablursen は真性多血症(PV)を始めとして様々な血液疾患の治療薬となる可能性があります。

真性多血症について

 真性多血症(PV)は、赤血球の過剰産生を特徴とし、生命を脅かす可能性のある希少な血液疾患です。特に肺、心臓、脳などの重要な臓器で重篤な血栓のリスクが大幅に増加します。また、PV患者は重度の鉄欠乏もきたし、一般的に疲労の症状を呈するため、生活の質(QOL)が低下することがあります。

Ionis Pharmaceuticals Inc.について

 Ionis社はRNA標的医薬品のパイオニアであり、30年以上にわたり、重篤な疾患を抱える人々により良い未来をもたらす医薬品の創製に取り組んできました。これまでにIonis社は、6つの承認された治療薬と神経、循環器、患者ニーズの高い特定領域における先進的な開発化合物パイプラインを有しています。Ionis社はRNA療法への革新を推進し続けるとともに、遺伝子編集の新しいアプローチを進展させています。詳しくはIonis社のウェブサイト( https://www.ionis.com/ )をご覧ください。