2024.10.07
研究開発

米国食品医薬品局が、切除可能な非小細胞肺がんの治療法として、オプジーボと化学療法の併用療法による術前補助療法と、それに続く術後のオプジーボ単剤療法による術後補助療法の周術期療法を承認

 本資料は、小野薬品工業と戦略的提携契約を締結しているブリストル マイヤーズ スクイブが2024年10月3日(米国現地時間)に発表した英語原文のプレスリリースを和文抄訳として提供するものです。和文抄訳の内容につきましては、英語原文が優先されます。
 英語原文のプレスリリースは、https://www.bms.com/media/press-releases.html をご覧ください。


本資料は、ブリストル マイヤーズ スクイブが2024年10月3日に発表しましたプレスリリースの和文抄訳であり、内容につきましては英語原文が優先されます。

米国食品医薬品局が、切除可能な非小細胞肺がんの治療法として、
オプジーボと化学療法の併用療法による術前補助療法と、それに続く術後の
オプジーボ単剤療法による術後補助療法の周術期療法を承認

  • 今回の承認は、オプジーボを含むレジメンが、化学療法とプラセボの併用療法群と比較して、無イベント生存期間で有意に長期の改善を示し、病理学的完全奏効で高い奏効率を示したCheckMate -77T試験に基づいています1 。
  • オプジーボは、切除可能な非小細胞肺がんにおいて、単独の術前補助療法レジメンおよび周術期療法レジメンの両方で承認された唯一のPD-1阻害薬です1
  • 今回のマイルストーンは、ブリストル マイヤーズ スクイブの胸部領域におけるポートフォリオを補強するものであり、早期ステージのがん患者に対する治療の進歩に向けた取り組みを強調するものです。

 (ニュージャージー州プリンストン、2024年10月3日)-ブリストル マイヤーズ スクイブ(NYSE:BMY/本社:米国ニューヨーク/CEO:クリス・バーナー)は、本日、米国食品医薬品局(FDA)が、切除可能(腫瘍径≧4cmまたはリンパ節転移陽性)な非小細胞肺がん(NSCLC)を有し、上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異陰性または未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)融合遺伝子の再構成を伴わない成人患者の治療法として、オプジーボ(一般名:ニボルマブ)とプラチナ製剤を含む化学療法2剤の併用療法による術前補助療法と、それに続く術後のオプジーボ単剤療法による術後補助療法を承認したことを発表しました(この療法は、周術期療法とも呼ばれ、手術の前後に行われます)1。この承認は、切除可能なNSCLC治療において、免疫療法薬を含む併用療法による当社の2つ目の肯定的な無作為化第Ⅲ相試験であるCheckMate -77T試験の結果に基づいています1。現在、この疾患において、オプジーボは、化学療法と比較して術前補助療法レジメンおよび周術期療法レジメンの両方で、統計学的に有意かつ臨床的に意義のあるベネフィットを示した唯一のPD-1阻害薬です1
 米国テキサス大学MDアンダーソンがんセンター 胸部/頭頸部腫瘍内科の准教授であるTina Cascone(M.D.、Ph.D.)は、次のように述べています。「切除可能なNSCLC患者さんの再発率を考えれば、腫瘍の微小転移を標的として手術前後に投与して、がんの再発リスクを低減し、外科的治療の成功率を高めることができる治療選択肢は明らかに必要とされています2,3,4。オプジーボの周術期補助療法と化学療法の術前補助療法のレジメンが、化学療法単独の術前補助療法と比較して、無イベント生存率(EFS)の改善をもたらすことができ、患者さん4人のうち1人において病理学的完全奏効(pCR)を達成できる可能性があり、今回の承認は、切除可能な患者さんにとって前進です2。」
 CheckMate -77T試験では、切除可能なNSCLCの成人患者を対象に、オプジーボとプラチナ製剤を含む化学療法2剤の併用療法による術前補助療法と、それに続く術後のオプジーボ単剤療法による術後補助療法の周術期療法レジメン(n=229)を、プラチナ製剤を含む化学療法2剤とプラセボの併用療法による術前補助療法と、それに続く術後のプラセボによる術後補助療法(n=232)と比較評価しました2。本試験において、オプジーボ群は、化学療法とプラセボの併用療法群と比較して、主要評価項目であるEFSで改善を示しました2。また、事前に規定された副次評価項目の1つであるpCRでも、高いpCR率が認められました2
 本試験の中央値25.4カ月の追跡調査で、オプジーボ群は、化学療法とプラセボの併用療法群と比較して、再発、病勢進行または死亡のリスクを42%低減しました(EFS ハザード比 [HR] 0.58;95% 信頼区間 [CI]:0.43 - 0.78;p=0.00025)2
 また、18カ月EFS率は、オプジーボ群で70%、化学療法とプラセボの併用療法群では50%でした2。さらに、Intent-To-Treat(ITT)集団でのpCR率は、オプジーボ群で25%、対照群では4.7%でした(推定治療差20.5%; 95% CI:14.3 - 26.6)2
 オプジーボの「警告および注意」には、次の事象が含まれています:重度かつ致死的な免疫介在性副作用(肺臓炎、大腸炎、肝炎および肝毒性、内分泌障害、皮膚関連副作用、腎炎および腎機能障害を含む)、infusion reaction、同種造血幹細胞移植(HSCT)の合併症および胎児毒性1。多発性骨髄腫患者におけるサリドマイド類似体とデキサメタゾンの併用療法へのPD-1またはPD-L1阻害抗体の追加投与は、比較臨床試験以外では推奨されません1。詳細は「重要な安全性情報」の項目をご参照ください。
 ブリストル マイヤーズ スクイブの米国がん・血液疾患領域シニアバイスプレジデントであるWendy Short Bartieは、次のように述べています。「今回のマイルストーンは、オプジーボを含む治療法が果たす役割を拡大するものであり、CheckMate -816試験に基づく切除可能なNSCLCにおけるオプジーボと化学療法の併用療法による術前補助療法のFDA承認によって構築された基盤をさらに強固にするものです1。オプジーボを含むこの新たなレジメンによって、患者さんのアウトカム改善に向けた取り組みをさらに強化し、早期ステージの胸部がんにおけるポートフォリオを一層充実させてまいります。」
 本適応症におけるオプジーボの推奨用量は、オプジーボ 360 mgをプラチナ製剤を含む化学療法2剤と同日に3週間間隔で最大4サイクルまで、病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで投与し、術後にオプジーボ480 mgの単剤療法を4週間間隔で最大13サイクル(約1年間)、病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで投与を継続する1。FDAは、これまでに切除可能(腫瘍径≧4cmまたはリンパ節転移陽性)なNSCLCの成人患者の術前補助療法として、オプジーボとプラチナ製剤を含む化学療法2剤の併用療法を承認しています1。現在までに、オプジーボ単剤療法とオプジーボを含む併用療法は、肺がん、悪性黒色種、膀胱がんおよび食道/胃食道接合部がんの4つのがん腫に対して術前補助療法、術後補助療法または周術期療法としてFDAから承認を受けています1

CheckMate -77T試験について

 CheckMate -77T試験は、切除可能なNSCLC患者を対象に、オプジーボとプラチナ製剤を含む化学療法2剤の併用療法による術前補助療法と、それに続く術後のオプジーボ単剤療法による術後補助療法を、プラチナ製剤を含む化学療法2剤とプラセボの併用療法による術前補助療法と、それに続く術後のプラセボによる術後補助療法と比較評価した多施設共同無作為化二重盲検第Ⅲ相臨床試験です5
 CheckMate -77T試験では、患者461例が術前補助療法としてオプジーボ360 mgとプラチナ製剤を含む2剤併用化学療法を3週間間隔で投与する群、あるいはプラセボとプラチナ製剤を含む2剤併用化学療法を3週間間隔で投与する群に無作為に割り付けられ、病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで、最大4サイクル継続投与し、それに続く術後の術後補助療法としてオプジーボ480 mg単剤、あるいはプラセボを4週間間隔で投与し、病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで、最大13サイクル(約1年間)投与されました1。本試験の主要評価項目は、盲検下独立中央評価委員会(BICR)の評価による無イベント生存期間(EFS)です。副次評価項目には、盲検下独立病理評価委員会(BIPR)の評価による病理学的完全奏効(pCR)およびMajor Pathological Response(MPR)、全生存期間(OS)および安全性が含まれます2

CheckMate -77T試験における安全性プロファイルの抜粋

 オプジーボと化学療法の併用療法群(n= 228)で最も多く(20%以上)報告された副作用は、貧血(39.5%)、便秘(32.0%)、悪心(28.9%)、疲労(28.1%)、脱毛症(25.9%)および咳嗽(21.9%)でした6
 重篤な副作用が、オプジーボとプラチナ製剤を含む化学療法2剤の併用療法による術前補助療法を受けた患者(n=228)の21%で発現しました1。最も高頻度(2%以上)に報告された重篤な副作用は、肺炎でした1。致死的な副作用が、脳血管障害、COVID-19感染、喀血、肺炎および肺臓炎(各0.4%)により、患者の2.2 %で発現しました1
 CheckMate -77T試験では、術前補助療法を受けたオプジーボ群の患者12例(5.3%)で副作用により手術を受けませんでした。オプジーボ群の患者において手術の中止に至った副作用は、脳血管障害、肺炎、および大腸炎/下痢(各2例)、急性冠症候群、心筋炎、喀血、肺臓炎、COVID-19、および筋炎(各1例)でした。
 重篤な副作用が、オプジーボ単剤療法による術後補助療法を受けた患者(n=142)の22%で発現しました1。頻繁に報告された重篤な副作用は、肺臓炎/間質性肺疾患(2.8%)でした1。COVID-19による致死的な有害事象が1件報告されました1。周術期療法レジメンの安全性プロファイルは、NSCLCを対象としたオプジーボの試験でこれまでに報告されているものと一貫しており、新たな安全性シグナルは認められませんでした2

肺がんについて

 肺がんは、米国においてがんによる死亡の主な原因となっています7。肺がんは、小細胞肺がんと非小細胞肺がんの2種類に大きく分類されます7。非小細胞肺がん(NSCLC)は、診断のおよそ85%を占めています7。早期ステージの非転移性NSCLC患者の場合、手術が唯一の治療選択肢となる可能性があります8。しかし、患者の30%~55%は再発を来す可能性があり、長期的なアウトカムを改善するために、手術前に投与(術前補助療法)および手術後に投与(術後補助療法)する治療選択肢が必要とされています2。生存率は、診断された際の進行度(ステージ)とがんの種類によって異なります7

ブリストル マイヤーズ スクイブ:がん患者さんのためのより良い未来を目指して

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、「サイエンスを通じて、患者さんの人生に違いをもたらす」というビジョンを掲げています。がん研究で私たちが目指すのは、より良い健やかな日々をもたらす医薬品を患者さんにお届けすること、そして、がんの治癒を可能にすることです。私たちはこれまでも、さまざまながん腫において生存期間を改善してきました。その実績を足掛かりに、ブリストル マイヤーズ スクイブの研究者は、患者さん一人ひとりに合わせた個別化医療の新たな地平を拓くとともに、革新的なデジタルプラットフォームによって得たデータをインサイトに変え、研究の着眼点を明らかにしています。ヒトの生物学と疾患の関係に対する深い知見、最先端の技術および独自の研究プラットフォームにより、私たちは、あらゆる角度からがん治療にアプローチします。
 がんは、患者さんの人生のさまざまな場面に深刻な影響を及ぼします。ブリストル マイヤーズ スクイブは、診断からサバイバーシップまで、がん治療のすべての側面に違いをもたらすべく尽力しています。がん治療のリーダーである私たちは、がんと闘うすべての人々の力となり、より良い未来を築くべく取り組んでいます。

ブリストル マイヤーズ スクイブと小野薬品工業の提携について

 2011年、ブリストル マイヤーズ スクイブは、小野薬品工業と締結した提携契約により、当時、小野薬品工業がすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を獲得しました。2014年7月23日、ブリストル マイヤーズ スクイブと小野薬品工業は、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単剤療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。

ブリストル マイヤーズ スクイブについて

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、深刻な病気を抱える患者さんを助けるための革新的な医薬品を開発し、提供することを使命とするグローバルなバイオファーマ製薬企業です。ブリストル マイヤーズ スクイブに関する詳細については、BMS.com をご覧くださるか、LinkedIn 、Twitter 、YouTube 、Facebook および Instagram をご覧ください。

将来予測に関する記述の注意事項

 本プレスリリースは、特に医薬品の研究、開発および商業化について、1995年米国民事証券訴訟改革法に定められている「将来予測に関する記述」を含んでいます。歴史的事実ではないすべての記述は、将来予測であるか、将来予測であると見なされるものです。そうした将来予測に関する記述は将来の実績ならびに将来の業績、目標、計画および目的に関する現在の予想および予測に基づくものであり、今後数年間で予測が困難あるいは当社の支配下にない遅延、転換または変更を来たす内的または外的要因を含む内在的リスク、仮定および不確実性を伴い、将来の業績、目標、計画および目的が、本文書で記述または示唆されている内容と大きく異なる結果となる可能性があります。これらのリスク、仮定、不確実性およびその他の要因には、特に、本プレスリリースに記載された適応症でオプジーボ(一般名:ニボルマブ)と化学療法の併用療法が商業的に成功するかどうか、また販売承認が得られたとしても、その使用が著しく制限される可能性、本リリースに記載された適応症に対してそのような併用療法の承認の継続が検証試験における臨床的ベネフィットの証明及び記載を条件とする可能性が含まれています。将来予測に関するいかなる記述も保証されるものではありません。本プレスリリースの将来予測に関する記述は、ブリストル マイヤーズ スクイブの事業と市場に影響を与える多くのリスクおよび不確定要素、特にブリストル マイヤーズ スクイブの2023年12月31日に終了した事業年度通期報告書(Form 10-K)、その後の四半期報告書(Form 10-Q)および当期報告書(Form 8-K)など、当社が米国証券取引委員会に提出した報告書にリスク要因として記されている不確定要素と共に評価されるべきです。本プレスリリースに記載された将来予測に関する記述は、本プレスリリースの発表日時点での予測であり、準拠法で特段の定めのない限り、ブリストル マイヤーズ スクイブは、新たな知見、今後の出来事等に因るか否かを問わず、一切の将来予測に関する記述について、公に更新または修正する義務を負うものではありません。

参考文献

  1. Opdivo Prescribing Information. Opdivo U.S. Product Information. Last updated: October 2024. Princeton, NJ: Bristol-Myers Squibb Company.
  2. Cascone T, Awad M, Spicer J, et al. Perioperative Nivolumab in Resectable Lung Cancer. N Engl J Med. 2024;390:1756-1769.
  3. Lampridis S, Scarci M. Perioperative systemic therapies for non-small-cell lung cancer: Recent advances and future perspectives. Front Surg. 2022; 9: 1126486.
  4. Marinelli D, Gallina FT, Pannunzio S, et al. Surgical and Survival Outcomes with Perioperative or Neoadjuvant Immune-checkpoint Inhibitors Combined with Platinum-based Chemotherapy in Resectable NSCLC: A Systematic Review and Meta-analysis of Randomised Clinical Trials. Crit Rev Oncol Hematol. 2023;Dec:192:104190.
  5. ClinicalTrials.gov: NCT04025879. A Study of Neoadjuvant Chemotherapy Plus Nivolumab Versus Neoadjuvant Chemotherapy Plus Placebo, Followed by Surgical Removal and Adjuvant Treatment With Nivolumab or Placebo for Participants With Surgically Removable Early Stage Non-small Cell Lung Cancer. Available at
    https://www.clinicaltrials.gov/study/NCT04025879 . Accessed September 19, 2024.
  6. Data on file. BMS-REF-NIVO-0293. Princeton, NJ: Bristol-Myers Squibb Company; 2024.
  7. American Cancer Society. What is Lung Cancer? Available at
    https://www.cancer.org/cancer/types/lung-cancer/about/what-is.html . Accessed September 25, 2024
  8. American Cancer Society. Surgery for Small Cell Lung Cancer. Available at
    https://www.cancer.org/cancer/types/lung-cancer/treating-small-cell/surgery.html . Accessed September 25, 2024.