2024.12.27
研究開発

オプジーボ®点滴静注、シスプラチンおよびゲムシタビンとの併用療法による「根治切除不能な尿路上皮癌」に対する効能又は効果の追加に係る国内製造販売承認事項一部変更承認を取得

 小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:滝野 十一、以下「小野薬品」)とブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:スティーブ・スギノ)は、本日、小野薬品が、抗PD-1抗体「オプジーボ®(一般名:ニボルマブ)点滴静注(以下、オプジーボ)」について、シスプラチンおよびゲムシタビンとの併用療法による「根治切除不能な尿路上皮癌」に対する効能又は効果の追加に係る製造販売承認事項一部変更承認を取得しましたので、お知らせします。

 今回の承認は、未治療の切除不能または転移性尿路上皮がん患者を対象とした国際共同第Ⅲ相試験であるCheckMate -901試験(CA209-901:ONO-4538-56)において、オプジーボとシスプラチンおよびゲムシタビンの併用療法と、それに続くオプジーボ単剤療法を標準治療である化学療法単独と比較評価した試験の結果に基づいています。本試験において、オプジーボとシスプラチンおよびゲムシタビンの併用療法と、それに続くオプジーボ単剤療法は、シスプラチンおよびゲムシタビンの併用療法と比較して、主要評価項目である全生存期間(OS)および盲検下独立中央評価委員会(BICR)の評価による無増悪生存期間(PFS)で統計学的に有意かつ臨床的に意義のある延長を示しました。本試験におけるオプジーボとシスプラチンおよびゲムシタビンの併用療法と、それに続くオプジーボ単剤療法の安全性プロファイルは、オプジーボと化学療法の併用療法およびオプジーボ単剤療法でこれまでに報告されているものと一貫しており、新たな安全性シグナルは認められませんでした。

 オプジーボは、尿路上皮癌の適応症に関して、2022年3月に単剤療法で「尿路上皮癌における術後補助療法」の効能又は効果で承認されています。

CheckMate -901試験(CA209-901:ONO-4538-56)について

 CheckMate -901試験は、未治療の切除不能または転移性尿路上皮がん患者を対象に、オプジーボとヤーボイの併用療法、またはオプジーボとシスプラチンおよびゲムシタビンの併用療法と、それに続くオプジーボ単剤療法を標準治療である化学療法単独と比較評価した国際共同無作為化非盲検第Ⅲ相臨床試験です。
 CheckMate -901試験におけるオプジーボとシスプラチンおよびゲムシタビンの併用療法と、それに続くオプジーボ単剤療法の試験では、シスプラチンを含む化学療法に適格な患者が、オプジーボ360 mgとシスプラチンおよびゲムシタビンの併用療法を3週間間隔で6回投与し、その後オプジーボ単剤療法で480 mgを4週間間隔で投与する群、またはシスプラチンおよびゲムシタビンの併用療法を3週間間隔で6回投与する化学療法単独群に1:1の割合で無作為に割り付けられました。オプジーボの投与は、病勢進行または死亡に至るまで、最長2年間にわたり継続されました。本試験の主要評価項目は、全生存期間(OS)および盲検下独立中央評価委員会(BICR)の評価による無増悪生存期間(PFS)であり、今回の結果は同評価項目の最終有効性解析に基づくものです。

尿路上皮がんについて

 尿路上皮がんは腎盂、尿管、膀胱および尿道に発生する腫瘍で、そのほとんどが膀胱がんです。病理組織学的には膀胱がんの90%以上を尿路上皮がん(移行上皮がん)が占めています 1)。日本では、年間約3.4万人 2)(全世界では約61.4万人 3))が新たに膀胱がんと診断され、年間約1.0万人 2)(全世界では約22.0万人 3))の死亡が報告されています。

参考文献:

  1. Lynch CF, Cohen MB. Urinary System. Cancer. 1995;75:316-29.
  2. Globocan 2022: Bladder Cancer, Japan, World Health Organization. Available at:
    https://gco.iarc.who.int/media/globocan/factsheets/populations/392-japan-fact-sheet.pdf
  3. Globocan 2022: Bladder Cancer, World, World Health Organization. Available at:
    https://gco.iarc.who.int/media/globocan/factsheets/populations/900-world-fact-sheet.pdf
オプジーボ®点滴静注の概要
製品名 オプジーボ®点滴静注 20mg、同100mg、同120mg、同240mg
一般名 ニボルマブ(遺伝子組換え)
効能又は効果
  • 悪性黒色腫
  • 切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
  • 非小細胞肺癌における術前補助療法
  • 根治切除不能又は転移性の腎細胞癌
  • 再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫
  • 再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌
  • 治癒切除不能な進行・再発の胃癌
  • 切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫
  • 悪性中皮腫(悪性胸膜中皮腫を除く)
  • がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌
  • 根治切除不能な進行・再発の食道癌
  • 食道癌における術後補助療法
  • 原発不明癌
  • 尿路上皮癌における術後補助療法
  • 根治切除不能な尿路上皮癌
  • 根治切除不能な進行・再発の上皮系皮膚悪性腫瘍
用法及び用量

〈悪性黒色腫〉

通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。ただし、悪性黒色腫における術後補助療法の場合は、投与期間は12ヵ月間までとする。
根治切除不能な悪性黒色腫に対してイピリムマブ(遺伝子組換え)と併用する場合は、通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回80mgを3週間間隔で4回点滴静注する。その後、ニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。

〈切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌、治癒切除不能な進行・再発の胃癌〉

通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。
他の抗悪性腫瘍剤と併用する場合は、通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回360mgを3週間間隔で点滴静注する。

〈非小細胞肺癌における術前補助療法〉

他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回360mgを3週間間隔で点滴静注する。ただし、投与回数は3回までとする。

〈根治切除不能又は転移性の腎細胞癌〉

通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。
カボザンチニブと併用する場合は、通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4 週間間隔で点滴静注する。
化学療法未治療の根治切除不能又は転移性の腎細胞癌に対してイピリムマブ(遺伝子組換え)と併用する場合は、通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを3週間間隔で4回点滴静注する。その後、ニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。

〈再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫〉

通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。
通常、小児にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回3mg/kg(体重)を2週間間隔で点滴静注する。なお、体重40kg以上の小児には、ニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注することもできる。

〈再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌、悪性中皮腫(悪性胸膜中皮腫を除く)、原発不明癌、根治切除不能な進行・再発の上皮系皮膚悪性腫瘍〉

通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。

〈切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫〉

通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。
イピリムマブ(遺伝子組換え)と併用する場合は、通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回360mgを3週間間隔で点滴静注する。

〈がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌〉

通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。
イピリムマブ(遺伝子組換え)と併用する場合は、通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを3週間間隔で4回点滴静注する。その後、ニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。

〈根治切除不能な進行・再発の食道癌〉

通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。
他の抗悪性腫瘍剤と併用する場合は、通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔、1回360mgを3週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。

〈食道癌における術後補助療法、尿路上皮癌における術後補助療法〉

通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。ただし、投与期間は12ヵ月間までとする。

根治切除不能な尿路上皮癌

ゲムシタビン塩酸塩及び白金系抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回360mgを3週間間隔で6回点滴静注する。その後、ニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。

製造販売 小野薬品工業株式会社
プロモーション提携 ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社

※今回の承認による改訂箇所は下線で表示

オプジーボについて

 オプジーボは、programmed death-1(PD-1)とPD-1リガンドの経路を阻害することで身体の免疫系を利用して抗腫瘍免疫応答を再活性化するPD-1免疫チェックポイント阻害薬です。がんを攻撃するために身体の免疫系を利用するオプジーボは、日本で2014年7月に悪性黒色腫で承認を取得以降、複数のがん腫において重要な治療選択肢となっています。現在、日本、韓国、台湾、米国およびEUを含む65カ国以上で承認されています。
 日本では、小野薬品が2014年9月に「根治切除不能な悪性黒色腫」の治療薬として発売しました。その後、2015年12月に「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」、2016年8月に「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」、2016年12月に「再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫」、2017年3月に「再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌」、2017年9月に「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌」、2018年8月に「がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫」、2020年2月に「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌」と「がん化学療法後に増悪した根治切除不能な進行・再発の食道癌」、2021年12月に「原発不明癌」、2022年3月に「尿路上皮癌における術後補助療法」、2023年11月に「悪性中皮腫(悪性胸膜中皮腫を除く)」、および2024年2月に「根治切除不能な進行・再発の上皮系皮膚悪性腫瘍」の効能又は効果の追加承認を取得しました。
 また、肝細胞癌について、効能又は効果の追加の承認申請中です。

小野薬品工業株式会社とブリストル マイヤーズ スクイブの提携について

 2011年、小野薬品は、ブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)と締結した提携契約により、当時、小野薬品がオプジーボに関するすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を供与しました。2014年7月、小野薬品とBMSは、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単剤療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。