2024.03.14
ライセンス

イタリアSibylla Biotech社と神経疾患に対する新規医薬品候補化合物の創製を目的とした提携契約を締結

 小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:相良 暁、以下「当社」)は、本日、Sibylla Biotech社(本社:イタリア、ミラノ、以下「Sibylla社」)と、神経疾患に対する新規医薬品候補化合物の創製を目的とした提携契約を締結しましたので、お知らせします。

 本提携において、当社が選択した神経疾患領域の創薬標的に対して、Sibylla社は独自のタンパク質分解技術プラットフォームであるPPI-FIT技術を活用して、タンパク質の折り畳みに干渉して分解を誘導する低分子化合物(FIDs:Folding Interfering Degraders)を同定します。当社は、本提携で同定された化合物をもとに医薬品候補を創製し、全世界で独占的に開発・商業化する権利を保有します。当社は、Sibylla社に対して、契約一時金、研究資金、研究開発の進捗および売上高に応じたマイルストン(総額で最大数億ドル)、ならびに上市後の売上高に応じたロイヤルティを支払います。

PPI-FIT:Pharmacological Protein Inactivation by Folding Intermediates Targeting
PPI-FITは、天然の状態では創薬に適した結合ポケットが存在しないために創薬が不可能と考えられているタンパク質標的に対する創薬を可能とする技術です。

 当社の取締役 専務執行役員 研究本部長である滝野 十一は、次のように述べています。「私たちは、Sibylla社のPPI-FIT技術を高く評価しており、その技術によって従来の創薬手法における制限を克服して、神経疾患に対する新たな治療薬を創製できるものと考えています。この提携は、神経領域における私たちの開発パイプラインを拡充するとともに、神経疾患の患者さんに革新的な医薬品を提供するという私たちにとって戦略上、重要な取り組みの一環であります。」

 Sibylla社の共同創設者兼最高経営責任者であるLidia Pieri(Ph.D.)は、次のように述べています。「小野薬品とのパートナーシップにおいて、Sibylla社のタンパク質折りたたみシミュレーションの最先端技術と、小野薬品の神経系の研究領域における豊富な経験との融合を期待しています。私たちは共に、世界中の患者さんに新たな治療選択肢を提供することを目指しています。小野薬品の豊かな歴史、専門知識および文化を高く評価しており、小野薬品と協働できることをうれしく思います。Sibylla社の全社員が小野薬品との緊密な連携を楽しみにしています。」

Sibylla Biotechについて

 Sibylla社は、タンパク質の折りたたみに干渉し、それによって疾患関連タンパク質の発現を抑制する新しい作用機序のタンパク質分解技術を開発し、本領域の変革に取り組んでいます。タンパク質折りたたみシミュレーション技術プラットフォームであるPharmacological Protein Inactivation by Folding Intermediate Targeting(PPI-FIT)を通じて、これまでに未開拓であったタンパク質の折りたたみ中間体を特定し、天然の状態では創薬が不可能と考えられているタンパク質標的の創薬に取り組んでいます。Sibylla社は、さまざまな治療領域に適応できる低分子折りたたみ干渉分解薬(FIDs)の独自のパイプラインを拡充しています。