「独創的で画期的な新薬を創製する」創薬方針のもと、医療ニーズの高いがん、免疫・炎症、神経領域を重点領域に定め、疾患の発症や進展に関わる生物学的な知見と理解を深めるとともに、オープンイノベーションを積極的に推進し、創薬力の強化に努めています。また、デジタル技術を活用することで創薬研究の質とスピードの向上に取り組み、基礎と臨床の橋渡しを担うトランスレーショナル研究も強化しています。
2025年5月時点において、臨床開発段階の新薬候補が24品目あり、うち16品目を自社で創製しています。研究早期段階からヒトゲノム情報やヒトiPS細胞などの研究ツールとインフォマティクス技術を積極的に活用することで標的分子の疾患との関連性を解析し、また新薬候補のヒトにおける有効性をより正確に予測・評価できるバイオマーカーを見出し、創薬の成功確率の向上を図っています。
研究開発の重点領域
当社の研究開発では、「独創的で画期的な新薬を創製する」創薬方針のもと、医療ニーズの高いがん、免疫・炎症、神経領域を重点領域に定めています。各領域における強みを生かし、治療満足度が低く医療ニーズが高い疾患の治療薬の創製に挑戦しています。
重点領域ごとの創薬体制
がん(オンコロジー研究センター)
腫瘍免疫のパイオニアとして、免疫チェックポイント阻害剤オプジーボの研究開発で培ってきた経験や技術・ノウハウを活かし、第二、第三のオプジーボとなる画期的な抗がん剤創製を目指しています。国内外の研究機関やバイオベンチャーとの共同研究を通じた最先端科学のオープンイノベーションやトランスレーショナル研究による、独創的な創薬シーズや新たな創薬モダリティの探索に挑戦しています。
免疫・炎症(イムノロジー研究センター)
アンメットニーズの高い免疫・炎症関連疾患の根底にある生物学的特性を分子・遺伝子レベルで深く理解し、多様で先進的な創薬テクノロジーを組み合わせることで、革新的新薬の創製に取り組んでいます。このアプローチにより、症状の改善、持続的な寛解、そして将来的には治癒へと導き、既存の治療概念を変えることを目指しています。
神経(ニューロロジー研究センター)
神経系を構成する神経細胞と、その生存や機能発現のために必要な環境の維持と支援に寄与しているグリア細胞に着目しています。患者さんの組織やiPS 細胞を用いた解析により、高齢化が進む社会において大きな問題となっている神経変性疾患や、社会的損失が大きい精神疾患、慢性疼痛の患者さんのための、対症療法だけではなく根治療法となる革新的な医薬品の創製を目指しています。
事例紹介
オンコロジー研究センターONO-4578:EP4拮抗剤
がん細胞から産生されるプロスタグランジンE2(PGE2)は、種々の免疫細胞に発現するPGE2受容体EP4に作用し、がん免疫のはたらきを抑制しています。ONO-4578は、EP4をブロックすることでがん免疫を回復し、がん細胞を攻撃することを期待しています。
がん細胞は、合成酵素COX-2によりPGE2を産生する。PGE2は、種々の免疫細胞に発現するEP4を介して、がん免疫のはたらきを抑制している。
ONO-4578はEP4に対する選択的拮抗剤であり、基礎実験からは、PGE2の作用を抑制し、がん免疫を回復することで抗腫瘍効果を示すことが確認されている。
抗PD-1抗体ニボルマブ(オプジーボR)の抗腫瘍効果を増強することも期待されている。
イムノロジー研究センターONO-4685:PD-1×CD3二重特異性抗体
PD-1は免疫を抑制する受容体であり、活性化したT細胞に発現誘導され、活性化シグナルを抑制します。一方、CD3はT細胞を活性化する受容体の構成分子です。
ONO-4685は、 PD-1とCD3の両方を認識する二重特異性抗体であり、当センターが仮説に基づき独自にデザインしたものです。ONO-4685は、自己免疫疾患の新規治療薬になり得ると考え、現在臨床試験を実施中です。
当センターでは特殊な遺伝子改変マウスを構築し、ONO-4685が活性化したT細胞を抑制することで、自己免疫疾患モデルに効果を示すという仮説を証明しています。